詩 秋の風が

秋の風が

ガラス戸を叩いている

弱くなった日の光が

一つの時代の終わりを告げる

夏は偉大だった、と祈った詩人の敬虔さを忘れる事は出来ない

風は意識して冷たい

失語症の私はワインを呑んで

拙い詩でも書こうか

 

風の質料を知っているか?

光の形相を知っているか?

ガラス戸を叩く力を知っているか?

敬虔さだけが鍵となる

(時には詩や思索を放棄する事も必要だ!)

眼に見えないものを見るのは難しい、と歌った詩人の傲慢さを忘れる事は出来ない

光は意識して導く

精神の病んだ私は

拙い詩でも書こうか

 

おぉ神よ

風のなんと云う力よ!

この力が太陽の熱から作り上げているとは!

おぉ神よ

眺める事しか出来ない私を赦したまえ!

風よりも力のない言葉を赦したまえ!

私はただあなたの憐れみを

受けるだけの存在です