詩 あるとはどういうことだろうか

あるとはどういうことだろうか

人間の精神は脳内の化学物質の組み合わせに拠るものだ

向精神薬がそれを証明する

人間は脳内物質の分泌に拠って

恋をし、詩を書き、欲望する

向精神薬が効いて

見せかけの理性を生み出す

しかし彼は

あるということを思考する

あるとはあるということか?

あるとはないということか?

ないとはあるということか?

ないとはないということか?

彼の精神は混乱する

そんなこと考えても、一銭の得にもならない

もう辞めようとしている

しかし、世界が

言葉が、欲望が

彼をその思考を止めさせない

世界と精神は謎の謎で

ご飯を食べる暇もない

彼の精神は混濁する

まるで原子を肉眼で見るかのように

彼の能力を超えている

彼は高い山に登ったまま、降りてこない

しかし、あるという精妙さが

精密機械のような豊穣さが

彼を神経症的に、思考させる

嗚呼、脳内物質の神様よ!

彼を意識の白濁から、救いたまえ!

彼の精神の敬虔さで、助け出したまえ!

彼の居るところは地獄か天国のようで

彼の居るところは森か砂漠のようで

彼は天使と勘違いして

高い山から降りてこない

そして

あるという山から降りて来る時は

脳内物質があるということから

作られているということを悟る時だ!