詩 自由、ゲットー

自由、ゲットー
人々は偽物の神様のゲットーに居る
偽物の神様は目も見えないし耳も聞こえない
死んでいる人々の神様なのだ
偽物の神様を拝んで
とても丁寧な儀式をして、拝んでいる
偽物の神様のお恵みで
人々は美味しいお酒を呑む
お酒は人々に全能感を感じさせて
殻の中で自由になる
「神様なんか居ないんだ」
そんな事言う子は、はぐれもの
ゲットーの中のゲットーに入れられて
美味しいお酒は呑む事が出来ない
「人とは違うから」「制服を着ていないから」
ゲットーの中のゲットーには変わり者が入る
殻の中の人々は彼らを蔑む
自分は彼らよりずっと増しだと思う
彼らは目も見えないし、耳も聞こえない
死んでいる人々の偽物の神様のようだ
殻の中の人々は本物の神様を知らない
本物の自由を知らない
殻の中で人々は薄い空気を吸い
羊水に潜って遊んでいる
ゲットーの中のゲットーの人々には
そんな権利はないし、空気が重い
しかし、ゲットーの中のゲットーから
偽物の神様のゲットーの殻の中から
抜け出した人が居る
その人は「悟りを開いた者」「神の子」と言われた
殻の中のゲットーの人々には
その人の言葉が理解出来なかったし、信じられなかった
しかし、人々は彼の言葉に希望を見いだして
偽物の神様を壊し始めた
殻は予想以上に厚くて薄くて
鉄条網にびびったりしていた
ゲットーには風が吹いて
トタンで出来た壁は共鳴していた
そんな時に書かれたのがこの歌
偽物の神様を壊す過程で出てきた熱が
本物の神様を求める呻きが
幾千万の詩篇を産み出している
僕もゲットーの中のゲットーから
自由の歌を歌い出そう

詩 いつになったら

いつになったら眼が覚めるのだろう
夢から夢へ、転がってゆく
不安定な気持ちは何だろう
自分の実力を大きく越える欲望
それに自我が巻き付くいやらしさ
僕は性器のように、いやらしくなった
欲望は開発されて
夢から夢へ、性器の赴くままに
快楽を貪って、墓に埋められる
「こんな事ではいけない」うつつに戻って天使が囁く
でも天使さん、現実はものすごく残酷で
みんな実力以上のものを求めて、悲しんでいるのですよ。
あなたのボスのように、「神の国」はなかなか来ないのですよ。
神さまはなぜ、人々の苦しみ悲しみを放って置かれるのでしょうか?
そう祈って、また夢へ帰る
夢は巨大で醜くて
でも湿地のように暖かくて
快楽地獄のようだ
こんな地獄も悪くないと思いつつ
全ての問題の解答がある天の国も求めている
ムシのいい話だ

詩 儲けたいなら

儲けたいなら、喋らないこと
詩なんか書かないこと
遠くのものを信じて
もっと遠くのものを信じないこと

儲けたいなら、アタマを空っぽにすること
高潔な精神を捨てること
子供っぽくて値段だけが高いガジェットを身に付けること
絵画や詩集を買わないこと

儲けたいなら、不満をいつも持つこと
こころの平安を求めないこと
肉と酒と女だけを求めること
虚しさなんか感じないこと

儲けたいなら、唯物論者になること
内面の自由の声を聞いても
貧しい食卓に安らぎを感じても
良心に動悸がしても
唯物論者でいること

詩 もしも奇蹟が起こるならば

もしも奇蹟が起こるならば
全ての「イズム」を壊して欲しい
資本主義、社会主義権威主義、民主主義
そんなの粉々に壊れてしまえ
僕は真実を知りたい、愛したい
全ての「イズム」が邪魔なんだ
「イズム」は人間を「発達」させた
でも見てごらん、人間は自分の都合のいいように
自然を造り変えて、その結果
真実から遠く離れて行った
季節を壊せ、季節を取り戻せ
冬は寒くて夏暑い
そんな季節を取り戻せ
人間の作為なんかもう嫌だ
水は流れるままで、風は吹くままで
下手な加工なんかするな!
もう世界は汚れてしまった
化学物質が嘘の真実を造り出して
結局人間と自然を殺している
太陽の法則が知りたい、地球の命を感じたい
もう人間の王国を造るのは無理だろう
自然に任せろ、息吹を感じろ
その中にしか真実はないのだから
言葉を壊せ、言葉を取り戻せ
自分の自然に耳を傾けろ
もう人間の王国を造るのは無理だろう
神に任せろ、聖霊を感じろ 
その中にしか真実はないのだから
愛を壊せ、愛を取り戻せ
愛は自分の知らない所から湧き出すのだから
もしも奇蹟が起こるならば
都市を壊してください

詩 登る

登る
ヤコブの階段を登って
世界を所有したいと思う
幾つもの未来の幸運と財産と
現在の痛みと反逆を抱えて
世界を造りたいと思う
観念の王国を建国し
恵みの共和国を宣言したい
登る
電気の力を使って
音楽の力を借りて
世界を造ろうと思う
鉄道はヤコブの階段を登って
隣りの惑星へと走る
空間は冷え込み
僕の手は凍えてしまう
登る
天の意志に従って
ある時は天の意志に逆らって
王国を造ろうと思う
僕はあまりにも貧しくて
天の意志は貧しさを意向して 
反逆の王国を造ろう 
おもちゃで王国を埋め尽くして
偽りの海を造ろう
登る
神よ
あなたは完全な服従
下へ向かう貧しさと
光を観るための暗闇を求められます
王国を造りたい僕は否定され
あなたの王国に降伏することを求められます
私は詩を書きたいし
物事を理解したいだけです

あけましておめでとうございます。これからもよろしくおねがいします。

世界哲学史

今週のお題「買ってよかった2021」

どーも、スズキヤスフミです。何で年末年始は寒いんでしょうね。お正月はめでたいけど嫌になっちゃいます。

さて「今週のお題」、買ってよかった物ですか…
今年は酒と本しか買ってないような気がします。(あとサブスク)晩酌しないタイプなのでお酒は少し高い物をちびりちびり。本も厚い物をちびりちびり。呑んだり読んだりした一年でした。ここ2、3年自分の境遇に変化がない状態なので、来年はもっと高いところへ登ってみたいと思いますが、世間がぐしゃぐしゃした状況では、それが出来ないか、もっと低いところに落ちてゆくのかも知れません。来年52になるので、ここで大きな花火を打ち上げたいな、と思っていますが、どうなる事やら…

本題に戻りますが、今年買ってよかった物に筑摩書房から出している「ちくま新書 世界哲学史全8巻」があります。西洋哲学に傾いていた哲学史を、アジアやイスラム圏など世界規模に捉え直す、というコンセプトで日本の様々な哲学を研究する学者が古代から現代まで通史で描き出そうという本です。9,000円也かかりました。まぁ自分でも「バカな浪費したな」と思いましたが、こういう「難しそうな本」が大好きで、かといって原著を読んでも全然歯が立たないから新書しか読まないヘタレの僕には「ガチハマり」の本でした。

さてどんな事が理解出来たか、という事ですが、「哲学」というだけあって難しいのですが、「悪は善の欠除である」と理解しました。どんな悪人でもなにかを補ってやれば善人になる、その為の手段として「哲学を勉強する」という事です。恐らく大学の哲学科ではこういう基本を教えていると思いますが、大学に行ってない僕にとっては新鮮である意味ほっとするものだと思いました。これが宗教ならば善人はどこまで行っても善を成して、悪人はどこまで行っても悪を成す、だから絶対者への帰依が必要だ、と考えるのでしょうが、そこまで考えなくとも人間の努力で物事は善い方向に向かうと考えるから哲学が必要なのでしょうね。絶対者がいるいないにかかわらず人間はそう造られて、善い方向に向かう可能性を持っていると理解しました。そして、善より快楽に向かい、また(その反動か)善悪を神経症的に考える現代人にとって本物の「知恵」に哲学がなるのだと思います。とにかく心一つで状況は良くも悪くもなる、という事ですね。「何呑気な事言ってるんだよ!」という声が聞こえて来そうですが、少し時間を取って休めば分かる事だと思いますね。人間にはそんな可能性があると思いますので。

でも、偉そうな事言っても、まだ全巻読んでいないのです。お正月の楽しみとして、また来年の暇つぶしとして、読んでいきたいと思います。二度三度読んでも価値がある本だと思います。皆さんよいお年を。来年良い年になればいいな。

詩 詩を書こうと思った

詩を書こうと思った
祈った
インスピレーションを貰おうと思って
万年床の隣りの「現代詩手帖」をパラパラ読んだ 
クリスマスパーティーの明けた二日酔いのアタマでは
理解出来なかった
字が並んでいるだけで
ノリが感じられなかった
詩を読むときの「うた」が見えない詩ばかりで
現代詩とはそういうものらしい
詩を書こうと思った
底冷えの万年床に寝転んで
ぼんやりしたアタマで
スマホのドキュメントアプリに向かって
普段使わないATOKを使って
日本人が作ったアプリだし
日本語の詩を書くときにはふさわしいし
文字入力が普段とは違うのが「祝祭性」があっていいし
詩を書こうと思った
バックグラウンド再生でradikoを聞きながら
そういえばradikoは競馬中継をやっている
宝くじを10回当てて競馬を100回当てて
詩集を買い占めたいと思う
小説も買い占めたいし
ついでに鉄道模型真空管アンプも買い占めて
文学と鉄道とオーディオの「ヲタク」になりたい
ヘルニアと糖尿病を治して
先ずは働かなければ
詩を書こうと思った
書き始めはどうなるかと思ったが
なんだかんだで詩が一篇出来てしまった
祈りは聞き届けられた