詩 父

僕の父は情けない人だった

巨人が負ければ悪口を言い 

酒にカネの糸目を付けない人だった

病気の僕を無理やり就職させて

1ヶ月で会社を辞める事になって

大層恥をかいた

母が否定し続けた男

とんでもない子供の頃

ラジオをせがむ僕に怒った

母と離婚した父は

女をつくり

彼女の家族と眠たくなるまで酒を呑んだ

 

僕の記憶に

父は断片的にしか残っていない

青年の頃父とまみえてから

一度も遭っていない