詩 壁

「壁は良心が作った」と言ってはならない

壁は恐怖と怠惰が作ったもの

気持ちはわかる

壁をこさえたくなる気持ちは

「壁は何をするかわからない蛮族から自分たちを守るため」

気持ちはわかる

でも、どちらが蛮族でどちらが良民かは

誰にもわからない

「自分たちのいのちを守るため」

ならそんないのちは捨ててしまえ!

蛮族に殺されるくらいのいのちなら

ハナからそれはなかったのだ

壁はどこにでもあるのだ

海の壁

山の壁

砂漠の壁

テレビの壁

心理の壁、などなど

数え上げたらキリがない

言葉の壁なら勉強すれば取り除けるけど

湿度の壁はどうにも取り除けない

壁を超えるのは熱情だけ

世界を見ようとする熱情だけ

それは祝福され、鳥と羽虫の視点を持つ

涼しい風が流れ

太陽の熱が彼らを照らす

小高い丘、見張りの塔

相互監視、「空気」

そんなものを溶かしてしまう

熱情を持て。若者よ

壁を溶かしてしまえ。知恵ある者よ

熱情だけが壁を溶かし

全き平和が、彼らの元にある

蛮族に殺されるいのちなら

ハナからそれはなかったのだ

気持ちはわかるけど