詩 苦しみの中から

苦しみの中から、歌が生まれる


苦しみがなければ

歌を歌う意味がないだろう

苦しみがなければ

哲学することもないだろう

苦しみがなければ

文章を書くこともないだろう

苦しみがなければ

感動することもないだろう


夢は過ぎ

朝がきて

また労働の苦しみがやってくる

みんな嬉しそうに働いているけど

僕には拷問に等しい

そして僕は

身体を壊し

心を壊した

だから詩を書いている

でも苦しみは過ぎ去らない


苦しみがなければ

考えることはないだろう

苦しみがなければ

旅する意味はないだろう

苦しみがなければ

本を読むこともないだろう

苦しみがなければ

喜びはないであろう


もう50歳になっちゃったよ

そのうち歌を歌ったのは何回あるだろう?

踊りを踊ったことはあるのだろうか?

もう大体手遅れで

表通りを歩くこともない

そのうちヘルニアになって

本当に歩くことが出来なくなっちゃったよ


苦しみがなければ

酒を呑むことはないだろう

苦しみがなければ

異性を愛する意味はないだろう

苦しみがなければ

何かを熱く想うこともないだろう

苦しみがなければ

歓喜の歌を歌うことがないだろう


苦しみは死ぬまで

世の終わりが来るまで、収まることはないだろう

だったら苦しみには笑顔で

悲しみには喜劇で

対応しようじゃないか

それでどうなるものではないが

少しは気持ちが晴れるだろう

いつか世の果てで

呪いが解けることがあるだろう

そのとき笑ってやればいいのさ

勝利の酒を、笑って呑んでやれば

いいのではないのか!