詩 頭の痛みは

頭の痛みは

見えないものの声

わたしは沈む

無意識の海に

言葉は潜水具

声を聞く唯一のアンテナ

深海魚は歌う

海百合が祈る

わたしの息は苦しくなる

闇が海水にまとわり付く

その時わたしは見つけた

海底の砂地から出てくる光の声を

わたしはノートを取り出し

声を書き取る

声は豊穣で

頭の痛みが気持ち良くなってゆく

しかし言葉のアンテナは砂で錆び付き

声は充分書き取れなくなってしまった

そして息が続かなくなった

わたしは自分の未熟さを悔い

ゆっくりと意識の浜に上がってゆく

海から上がり

陸の息を吸った

そして長い疲れの時が来て

モーツァルト交響曲を聴きながら

わたしは眠った