2022-12-07 詩 頭の痛みは 頭の痛みは 見えないものの声 わたしは沈む 無意識の海に 言葉は潜水具 声を聞く唯一のアンテナ 深海魚は歌う 海百合が祈る わたしの息は苦しくなる 闇が海水にまとわり付く その時わたしは見つけた 海底の砂地から出てくる光の声を わたしはノートを取り出し 声を書き取る 声は豊穣で 頭の痛みが気持ち良くなってゆく しかし言葉のアンテナは砂で錆び付き 声は充分書き取れなくなってしまった そして息が続かなくなった わたしは自分の未熟さを悔い ゆっくりと意識の浜に上がってゆく 海から上がり 陸の息を吸った そして長い疲れの時が来て モーツァルトの交響曲を聴きながら わたしは眠った