詩 叫びは届く

叫びは届く

深い谷の底で

水が埋まった谷の底で

叫びが届かない谷の底で

叫びは届く

精神科病院のベッドの中で

もう助かる見込みがない療養病床で

消毒液と糞尿の匂いがする病棟の廊下で

叫びが届く確証はない

眼に見えるところは戦場のようで

まるで焼け野原のようで

疑いの台風の日

叫びを信じる事が出来る

叫びは届く

届かない宇宙の外へ